お地蔵さま【甘酒地蔵 水子地蔵】

仏さまの種類はたくさんあります。たくさんの仏さまのなかでも大変に人気があるのがお地蔵さまで、今回はお地蔵さんの話をしたいと思います。
法蔵寺にもたくさんの仏像がありますが、ご本尊の阿弥陀如来の他にも、脇段には優しい慈悲にあふれた表情の甘酒地蔵や、怖い顔した不動明王などが本堂にまつられています。

お地蔵さまの正式な名前は「地蔵菩薩」といいます。
母なる大地のような大きな慈しみを内蔵しているので「地蔵」と名付けられました。大地が全ての生き物を育むような慈悲深い母のような表情で、地獄の責苦から救済してくれ私達に安心感を与えてくださる菩薩です。
また、その姿は菩薩でありながら頭は剃髪し僧侶の姿で、衆生を救済するために菩薩であっても仏となることなく永久に人々に救いの手を差し伸べています。
地蔵の形で最も多い形態様式は、宝珠錫杖地蔵と呼ばれ左手に錫杖、右手に如意宝珠を持つお姿のお地蔵さまです。
法蔵寺には本堂内に甘酒地蔵尊が居る他に、外にも水子地蔵さんや六地蔵など境内のいたるところお地蔵さまがいらっしゃいますが、当寺のお地蔵さまもこの宝珠錫杖地蔵のお姿が多いです。

地蔵菩薩がどういう仏さまかというと、お釈迦様が亡くなってから五十六億七千万年後に弥勒菩薩が登場するまでの間、地獄・飢餓・畜生・阿修羅・人・天の六道を輪廻して苦しむ人々を救うという菩薩です。
六道とは、私達が(亡くなった後も)迷い彷徨う六つの迷いの苦しい世界のことです。
お墓にはよく六地蔵がお祀りされていますが、亡くなってからその六つの世界で苦しむ衆生を救うためにお墓に六地蔵をお祀りしてあるのです。

また、お地蔵様のすごいところは、「現世利益」と「死後の迷いからの救済」の両方の徳があるところです。
トゲ抜き地蔵、身代わり地蔵、厄除け地蔵、延命地蔵、開運地蔵、勝利地蔵、子守地蔵、子宝地蔵などたくさんのご利益があるお地蔵さまが日本各地でみることができます。
まさにオールマイティーな仏さまで、多くの方から信仰され親しまれ、一番身近な仏さまなのだと思います。

法蔵寺には、甘酒地蔵さま、水子地蔵さまがいらっしゃりますが、それぞれ子安地蔵の意味合いがあります。
甘酒地蔵様さまの由来は、その昔お乳の出ないお母さんがこのお地蔵さまに甘酒をお供えしたところ、お乳が出るようになり、その赤ちゃんも元気にすくすくと育ったということが由来になっています。7月24日は法蔵寺甘酒地蔵尊の御縁日で、以前は甘酒地蔵祭りとして盆踊りをしたり、花火が上がったり、出店が出たりと大々的にお祭をしていました。
水子地蔵さまは、この世に生まれてこれなかったお子様を暖かく守ってくださるお地蔵さまです。
二つのお地蔵さまはともに、三春や地域の方から長い間篤く信仰されてきました。これからもずっとかわいい子供を見守ってくださることでしょう。

甘酒地蔵尊


水子地蔵

お地蔵さま縁のもので、もう一つ有名なものがあります。
地蔵和讃です。
幼くして亡くなった子どもとその両親の物語で、悲しい物語です。

賽の河原地蔵和讃

これはこの世のことならず    死出の山路の裾野なる

さいの河原の物語         聞くにつけても哀れなり

この世に生まれし甲斐もなく   親に先立つありさまは

諸事の哀れをとどめたり

二つや三つや四つ五つ     十にも足らぬおさなごが

さいの河原に集まりて      苦患(くげん)を受くるぞ悲しけれ

娑婆と違いておさなごの     雨露しのぐ住処さえ

無ければ涙の絶え間無し    河原に明け暮れ野宿して

西に向いて父恋し         東に向いて母恋し

恋し恋しと泣く声は        この世の声とは事変わり

悲しさ骨身を通すなり

南無大悲地蔵尊       南無阿弥陀仏

寒くなってきましたね。
風邪などひかぬようご自愛下さいませ。

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