仏の種類 第二回 如来

≪如来とは≫
仏教界の最高位。阿弥陀如来(阿弥陀仏、阿弥陀様)、釈迦如来(釈尊、釈迦牟尼仏)、薬師如来、大日如来など。如来の中でも、阿弥陀如来、釈迦如来、薬師如来、大日如来が四大スターでしょうか。はるか昔から大人気です。
厳密にいうと、この如来だけが『仏』です。如来とは、『すでに悟りを開いたもの』という意味があります。仏像としては、基本的に蓮華の台の上に、衲衣(ノウエ)という布をまとい、立ったり座っているものが多いです。衣装的には至ってシンプルで、装飾的なものもなく、質素な印象です。
『如来=仏=すでに悟りを開いたもの』
という意味ですが、後に述べる菩薩や、明王なども一般的に『仏様』と呼ばれています。今回は区別する必要があるので、『仏=如来』としましたが、日常では『仏=如来、菩薩、明王など』でよいと思います。

≪如来の種類≫
阿弥陀如来・・・阿弥陀如来には悟りを開く前の姿があり、法蔵菩薩という菩薩でした。如来というのは、菩薩から如来にランクアップするときに、いくつかの約束を果たさなければなりません。要するに公約です。公約をキッチリ果たした菩薩だけが如来になれるというプロセスがあります。阿弥陀如来(法蔵菩薩)は『極楽浄土に往きたいと願う人があれば、南無阿弥陀仏(念仏)によってみんな極楽に往生できる』との約束を果たしました。これが時宗、浄土宗、浄土真宗の根本となる大事な公約です。
ゆえに、阿弥陀如来は、苦しみのない清らかな極楽浄土へ導いてくれます。
本当は気が遠くなるくらいの時間をかけて(何十、何百回の人生を修行にかけても遥かに足りないくらい)すごく大変な修行をして、やっと悟りの境地(浄土)にいけるのですが、阿弥陀如来は『南無阿弥陀仏』があれば、『みんな極楽浄土に来ていいよ』という懐の深い仏様です。
『南無阿弥陀仏』とは『阿弥陀様に全てお任せします』という意味です。『南無阿弥陀仏』があれば、必ず極楽浄土(苦しみのないおだやかな世界)へ導いてくれるわけです。
国宝
木造阿弥陀如来及両脇侍像(仁和寺)
木造阿弥陀如来坐像(平等院)
木造阿弥陀如来及両脇侍坐像(棲霞寺旧本尊)(清凉寺)
木造阿弥陀如来坐像(講堂安置)(広隆寺)など

釈迦如来・・・この世に実在した仏様。インドの釈迦族の王子として生まれ、なに不自由なく暮らしていましたが、出家し様々な修行をし、菩提樹の下で悟りを開き、伝道のために各地へ赴き、80歳で入涅槃された。私たちにとってためになることを仏の教えとしてたくさん伝えてくれた仏様。灌仏会(4月8日、お生まれになった日)、成道会(12月8日、悟りを開いた日)、涅槃会(2月15日、入滅された日)が各寺院で行われています。
国宝
木造釈迦如来及両脇侍坐像(上堂安置)(法隆寺)
銅造釈迦如来及両脇侍像(止利作、金堂安置)(法隆寺)
銅造誕生釈迦仏立像・銅造灌仏盤(東大寺)
銅造釈迦如来坐像(蟹満寺)
など

薬師如来・・・病苦を癒す仏様。左手に薬壺(ヤッコ)を持つ。世界中の人々の病気平癒を願う。
国宝
木造薬師如来及両脇侍像(勝常寺)
木造薬師如来及両脇侍坐像(講堂安置)(法隆寺)
木造薬師如来及両脇侍像(醍醐寺)
など

大日如来・・・宇宙と一体であると考えられている仏様。胎蔵界と金剛界という二種類の姿がある。本来、如来は出家後の釈迦の姿をモデルとしているため装飾品は身に付けていないが、大日如来だけは豪華な装飾品や宝冠を付けています。また、螺髪(らほつ)ではなく、髪を結い上げている。金剛界、胎蔵界の姿でそれぞれ印の形が違います。
国宝
木造大日如来坐像 運慶作(円成寺)

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